2011年1月27日木曜日

Amazonの新メール・サービスに秘められた「意図」とは?

 先日、Amazonが電子メール配信サービスをはじめる、と発表されました。なんで今さら? なんですけど、そのサービスの意図について、わかりやすく述べてくれる人がいないみたいなんで、書いてみますね。

 Amazonがこのたび展開するAmazonSimpleEmailServiceは、GoogleのGmailやMicrosoftのHotmailなどのフリーメール・サービスではありません。有償の企業向けメール配信サービスです。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0127&f=business_0127_020.shtml

 あまり知られてないように思いますが、Amazonはいわゆる「クラウド・サービス」の勝ち組企業です(最大の勝者はいうまでもなくGoogleです)。
 Amazonは、EC2と呼ばれる安価なサーバ・サービスを展開して、多くの顧客を集めました。それまでのレンタルサーバ・サービスを相対的に高価なものとし、価格破壊して成功したわけです。

 もっとも、このサービスは基本的に、Amazonの主事業――ネット・ショッピング・モールとは、ほとんど関わりがありませんでした。Amazonで買い物をすることとサーバを借りることは、まったく別の消費行動ですから。

 今回の電子メール配信サービスは、その2事業を有機的に接続するための方策なのだと思います。すなわち、Amazonが大量にもっている顧客情報と、EC2のユーザ企業を結びつける。
 誰でも経験してると思いますが、Amazonで一度でも買い物すると、ウェブページでは勝手に「おすすめ商品」が表示されるようになりますし、商品の宣伝メールが送られてくるようになります。このシステムを、企業宣伝に活用してもらおう、というわけです。こっちは顧客情報もってんだから、メール使って効率的に宣伝できるよ、ということですね。

 同時に、こうしたサービスを提供することによって、増えはじめたEC2の類似サービスと差別化したいんでしょう。

 サーバレンタルってじつはアホみたいに簡単な事業で、サーバマシンをたくさん用意して、そのデータ領域をギガバイト単位で売るだけです。
 マシンは秋葉原みたいなところで大量に部品買ってきて組み立て、OSにLinuxを使えば恐ろしく安く仕上がります。さらに、「クラウド」……つまりマシンをどこに置いてもいいわけですから、地価や電気代、人件費の安いところに置けばいい。
(Gmailなんかがいい例ですけど、あのメールデータがどこにあるかは、Googleに聞いたって絶対に教えてくれません)

 簡単な事業ですから、EC2のフォロワーはたくさん出ました。日本のIT企業も、かなり多くこの事業に参入しています。Amazonとしては差別化しないといけないわけで、それがこのメール・サービスにつながったということですね。

 あ、ここで述べたことは私の類推ですから、Amazonのねらいは別のところにある可能性もあります。とはいえ、EC2を使用する場合のメール・サービスは2000件まで無料、とうたってますから、大きなまちがいはないだろう、と思っています。


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