2011年1月31日月曜日

エジプト・デモにみる「通信遮断」されない方法

エジプトの反政府デモは、「インターネットの利用形態」にたいする反省をさせてくれるものでした。

同デモではTwitterならびにFacebookがデモ参加者の連絡手段として利用され、さらにはUstreamを利用した現場中継までおこなわれていることが、大きな話題を呼びました。「右手に石、左手に携帯電話」が標語みたいに使われているという報道もありましたし、「インターネット革命」なんてトンチンカンなコピーもあった。

ところが、しばらくすると当局がネット接続を遮断してしまいました。公式声明では「そんなことしてない」って言ってるらしいですが、現につながんなくなってるわけで、他に理由は考えられません。

平和な日本でそんなことは起こらないと思いますし、起こって欲しくないとは思いますけど、現在のインターネット利用形態(サーバ/クライアントモデル)では、そういうことが簡単にできちゃうんですね。よくよく考えれば、エジプト・ローカルの民衆運動の連絡をとるのに、TwitterやらFacebookやら、アメリカのサービスが利用されてるってのもおかしな話です。1キロも離れてない場所にいる相手と連絡をとりあうだけなのに、遠い遠いアメリカにある(だろう)サーバを介してメッセージのやりとりをするって、ヘンだよ。

クラウド・コンピューティング――すなわちインターネット上のサーバにあるプログラムを利用してコンピュータを扱う形式は、今後どんどん進行していくことでしょう。
個人は機能的に「しょぼい」マシン(ネットブックとかスマートフォンとか)しかもっていない。プログラムは全部ネット上にあって、そこからダウンロードして使用する。今や、GoogleやZohoが、WordやExcelの代用品となるオフィス・ソフトウェアを供給していますから、個人が性能的に優れたコンピュータを持つ必然性は、どんどん失われています。
かくいうわたしがこうして時代遅れのノートPCにLinuxをインストールしてストレスなく使えるのも、クラウド(ウェブ)・サービスの充実が大きいです。たとえばGmailがあるおかげで、わたしはPCの乏しいデータ領域を圧迫することなく、メールのやりとりをすることができています。

でも、こうした「クラウド」上のサーバに頼り切った利用って、ひとたびプロバイダのサービスを停止したら、消えてなくなっちゃうものなんです。エジプトにおける反政府運動は、それを現実として見せてくれました。
管理するほうとしてはやりやすいですよね。プロバイダに圧力をかけて通信情報を見ることができるし、いざとなったら利用できなくすることもできる。通信はつねにコントロール可能な場所にあるわけです。クライアント/サーバモデルには、そういう弱点があります。

長くなりましたけど、そうじゃない方法もあるんですよ、というのが本稿の眼目。「ピア・ツー・ピア(P2P)ネットワーク」と呼ばれるものです。ネット上のサーバを介さず、ユーザどうしでつながる形態のこと。
P2Pは流出事件で大いに話題を振りまいたWinnyで有名になってしまったから、世間的にはあんまりいいイメージをもたれていません。でも、「インターネットのあるべき姿」として地道に研究されています。たとえばこれ。サーバを介さずにモバイル通信しようって試みです。

まー、こんなもんが一般化したら通信料金で儲けてる携帯キャリアもプロバイダ企業もいっさい消えてなくなっちゃいますから、実用化は難しいと思いますけど、こうした研究は続けてほしいし、こういう方法だってあるんだ、ということはみんなに知ってもらいたいですよね。
コンピュータどうしのネットワーク――インターネットは「ユーザどうしでつながる」という思想からスタートしてるんです。そこから考えたら現在の形態のほうが異常なんだ。

エジプトの反政府運動も、Twitterなんか使わず、P2Pで通信してたら遮断されることなんかなかったんですよ。


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2011年1月27日木曜日

Amazonの新メール・サービスに秘められた「意図」とは?

 先日、Amazonが電子メール配信サービスをはじめる、と発表されました。なんで今さら? なんですけど、そのサービスの意図について、わかりやすく述べてくれる人がいないみたいなんで、書いてみますね。

 Amazonがこのたび展開するAmazonSimpleEmailServiceは、GoogleのGmailやMicrosoftのHotmailなどのフリーメール・サービスではありません。有償の企業向けメール配信サービスです。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0127&f=business_0127_020.shtml

 あまり知られてないように思いますが、Amazonはいわゆる「クラウド・サービス」の勝ち組企業です(最大の勝者はいうまでもなくGoogleです)。
 Amazonは、EC2と呼ばれる安価なサーバ・サービスを展開して、多くの顧客を集めました。それまでのレンタルサーバ・サービスを相対的に高価なものとし、価格破壊して成功したわけです。

 もっとも、このサービスは基本的に、Amazonの主事業――ネット・ショッピング・モールとは、ほとんど関わりがありませんでした。Amazonで買い物をすることとサーバを借りることは、まったく別の消費行動ですから。

 今回の電子メール配信サービスは、その2事業を有機的に接続するための方策なのだと思います。すなわち、Amazonが大量にもっている顧客情報と、EC2のユーザ企業を結びつける。
 誰でも経験してると思いますが、Amazonで一度でも買い物すると、ウェブページでは勝手に「おすすめ商品」が表示されるようになりますし、商品の宣伝メールが送られてくるようになります。このシステムを、企業宣伝に活用してもらおう、というわけです。こっちは顧客情報もってんだから、メール使って効率的に宣伝できるよ、ということですね。

 同時に、こうしたサービスを提供することによって、増えはじめたEC2の類似サービスと差別化したいんでしょう。

 サーバレンタルってじつはアホみたいに簡単な事業で、サーバマシンをたくさん用意して、そのデータ領域をギガバイト単位で売るだけです。
 マシンは秋葉原みたいなところで大量に部品買ってきて組み立て、OSにLinuxを使えば恐ろしく安く仕上がります。さらに、「クラウド」……つまりマシンをどこに置いてもいいわけですから、地価や電気代、人件費の安いところに置けばいい。
(Gmailなんかがいい例ですけど、あのメールデータがどこにあるかは、Googleに聞いたって絶対に教えてくれません)

 簡単な事業ですから、EC2のフォロワーはたくさん出ました。日本のIT企業も、かなり多くこの事業に参入しています。Amazonとしては差別化しないといけないわけで、それがこのメール・サービスにつながったということですね。

 あ、ここで述べたことは私の類推ですから、Amazonのねらいは別のところにある可能性もあります。とはいえ、EC2を使用する場合のメール・サービスは2000件まで無料、とうたってますから、大きなまちがいはないだろう、と思っています。


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2011年1月18日火曜日

「アウトソーシング」の危険性

最近、若い「元プログラマ」に会うことがありました。
「元」というのは、現在はその仕事をよしちゃってるからです。

プログラムを組む、つまりコーディングは好きだ。でも、就職した会社ではコーディングはほとんどやらせてもらえなかった。
コードの多くは中国に外注して、日本人は全体の設計をする、というのが主流なのだそうです。そこで彼が何をやらされていたかというと、プログラムのテストとか。

プログラムにはバグがつきものですが、通りいっぺんの使い方では、それが明らかになることはすくない。
(昔のMicrosoftのアプリケーションでは、思いっきりバグ丸出しがありましたけど)

そこで、「テスト」が必要になってきます。
どういうことをやるかというと、「通りいっぺん」ではない使い方をいろいろ試みるのだそうです。
ABC……と手順を踏むのが正しい使い方とすれば、それをACBとか、CABとかの順番でやってみる。すると、欠点や誤動作があらわになったりする。

人間の行動をすべて規制することはできません。
ペットボトルのジュースはたいがいの人がフタを空けて飲むけれども、中にはボトルの底に穴を空けて飲む人がいるかもしれない。ジュースなら別にどんな飲み方してもいいわけですが、プログラムの場合、「底から」が重大な欠陥となる可能性がある。具体的には、そこがセキュリティ・ホールとなって、第三者の侵入やイタズラを奨励してしまうようになってしまったりする。

システムへの不法侵入者、いわゆるクラッカーは、そういうところを常に探しています。上級者になると、「なんとなくここが弱そうだ」というのが、カンでわかるのだそうで。
これは、コンピュータ・セキュリティを専門にやってるエンジニア(要は防御の専門家ですが、防御するには攻撃の手段を知らなければならず、攻撃者にもなれる能力をもった人です)に聞いた話です。
「当たり前ですけど、攻撃者だってプログラムの全部を見ることはできないんです。でも、なんか臭うんですよね。『このへんが弱そうだ』って。……で、そのあたりを見てみると、やっぱり弱いということがすごく多い」
テクノロジーの最先端で動物的カンが働く、というのはおもしろいですが、今回お話ししたいのはべつの話。

コーディングを中国に外注、すなわちアウトソーシングするというのは、企業としては正しい選択だと思います。複雑なプログラムはひとりではつくれないわけで、しこしこコードを書く人が大量に必要になる。すると人件費がべらぼうにかかるわけですから、それを外注して安く済ませようというのは、企業なら当然のことです。

でも、一方で外注された国の技術レベルは、どんどん上がっていきます。
ご存じの人も多いと思いますけど、サーバ侵入の自動攻撃(たとえばID/パスワードとなる文字列を大量に送り、合致するまでそれが続く)なんかは、たいがい中国からといわれています。
Googleは中国でのビジネスから撤退してしまいましたけど、理由として「中国からのサイバー攻撃が絶えないため」というのを第一に上げています。クラッカーは、中国にたくさんいる。それは世界的なコモンセンスです。

だとすれば、「中国にアウトソーシング」は、そうした悪玉を増加させていることにならないか。
なんでもそうですけど、プログラミングだってやればやるほど実力がつきます。昼は日本から注文されたコードをしこしこ書いて、夜は日本企業のサーバに侵入している。そんな人はいくらもいるでしょう。聞いた話では、中国のクラッカーは組織化されていて、勉強会もたびたび開催されているという話です。

アウトソーシングはたいへんけっこうなんですけれども、「プログラムをつくった人」が「穴を見つけて侵入する」のって、すごく簡単な気がします。
日本人がやっている「テスト」が十全ならばそれで問題ないわけですが、「プログラムをつくる人」は「テストの裏をかく」ことも容易だろう。
すこし肌寒い気がしたのですが、それはシロウトの杞憂でしょうか?


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2011年1月16日日曜日

Linuxは遅くなるのか?(WindowsXPとの比較)

 自宅と勤務先で、WindowsXPのデスクトップ・マシンを使っています。

 XPはほとんどWindowsのスタンダードですよね。
 そこそこ使い勝手がいいせいで、Windows7にアップグレードしよう、という需要は意外にすくないように思います。
 オフィスでは7ではなくXPを見る機会のほうが多いような気がするんだけど、どうだろう?

 XPには良くないところがひとつ。1年も継続使用すると、だんだん挙動が遅くなってくる。たいがいの人は遅くなっても気にせず使ってるみたいですけど。

 やはり、理由はあるみたいです。

使い続けたPCはなぜ遅くなるのか。その解決法とは?
http://plusd.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0409/10/news042.html

 すこし難易度高めですが、再インストールを経ずにクリーンアップする方法もありました。
http://plusd.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0409/14/news001.html

 このことに関して、先日、あるプログラマと話しました。

「XPって、1年も使うと遅くなってくるよね」
「そうですね」
「Linuxでも同じかな?」
「いや、あれはWindowsだけだと思いますよ。Linuxはたぶん遅くならない」
「だとすれば『わざと』の可能性もあるんじゃないの? 遅くなれば買い換え需要が生まれるじゃん。汚え商売してやがんなーと思ってさ」
「いや、それはないでしょう。だって、Windows7って遅くならないでしょ?」

 そう言われてハタと気づきました。そういや、わたしのWindows7マシン(ThinkPad X200S)だって、使いはじめて1年以上経つんです。なのに、遅くなってない。XPから7へ、きっちりイノベーションしてるわけです!

 すごくいいことなんだけど、Microsoft的には自分の首を絞めてるところもあるんだろうな。


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2011年1月9日日曜日

Voice-Trek認識します! [Ubuntu10.10]

Linuxに関しては、浦島太郎みたいなところがあります。なまじっか以前使っていたために、「周辺機器を認識させるのにひと苦労」みたいなイメージがあるんです。

でもね、USB機器なら、たいがい差せば認識します。Androidは確実にイケるし、たぶんiPhoneも大丈夫。一般のWindowsパソコンとなんら変わりません。

わたしの数すくない商売道具のひとつ、オリンパス Voice-Trek DS-50。
取材時に使用します。


録音すると本体メモリにWMAファイルが生成されます。スピーカーがついてるので再生もできますけど、たいがいファイルを移動してPCで再生します。

Ubuntu10.10は、USBケーブルでつなぐだけで、こいつを/media/DS-50として認識するんですよ。
コマンドでファイル操作できるから、こいつはラク!


こういうもんつなぐたびに、
「お、認識するじゃないの!」
なんて口走っちゃうんですよね。

Ubuntuでは当たり前なんだろうけど、わたしが昔つかってたLinuxはそうじゃなかったんだ。


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2011年1月4日火曜日

Androidと旅に出る

1月2日より、新潟市に帰省していました。
じつはわたしは新潟市に住んだことがなくって、「帰省」という言葉を使うのもけっこう抵抗があったんですけど、聞けば両親は越後平野の住人となってはや20年を経るという。今さら「抵抗」とかいうのもおこがましいのかもしれません。

帰省に際して、モバイル・ノートPCをもっていくべきかどうか、少々悩みました。

家族でいけばそんなこともないのですが、このたびはわたしひとりの帰省です。かの地にわたしの友人・知人はありませんから、けっこう退屈することが予想されます。要は、親の顔を眺めてくることだけが目的なわけで、そんなの1時間もあれば済んでしまう。残りの時間はテレビでぼんやり駅伝を眺める、ぐらいしかすることがありません。PCでもありゃ多少退屈はまぎれる気がします。

でも、あえてもっていかなかった。理由は簡単、荷物が増えるからです。
さらに、スマートフォンがある、というのもすごく大きかった気がします。

Xperiaをもっていったおかげで、わたしはPCのアドレス宛にくるお年賀メールにも目を通すことができましたし、Twitterでつぶやいたりすることもできました。ATOK for Androidの入力もあれからずいぶん慣れましたから、ちょっとしたテキスト(仕事関連の思いつきとかですね)もすいすい打つことができます。その際に役立ったのは、なんといってもEvernoteです。
ついでに、両親と食事に出たときに少々迷うことがあったりして、GPSが効力を発揮する場面もあったのです。

そういや、行き帰りにXperiaはウォークマンにもなりました。これも忘れちゃいけないな。帰りの新幹線で聴いたアリシア・キーズはエライ良かった。
ちなみにExperiaはソニー製品ですから、「ヘッドホンステレオ」とかいう耳慣れない一般名詞でなく、「ウォークマン」という固有名詞を堂々と使えるんですよ。

2泊3日のあいだ、わたしはQWERTYキーボードにはまったくふれませんでした。でも、不都合は感じませんでした。

すこし前に読んだWired編集長クリス・アンダーソンのコラム「The Web is Dead」を思い出します。
読んだときには、「ほんとにそうかなあ?」と思ったりしたんですけど、案外当たってるかもしれない。

ブラウザを使ったウェブへのアクセスから、スマートフォン・アプリを使ったネット・アクセスへ。ウェブは次第に古いものになり、過去のものになっていく。

でも――どんなにスマートフォンやタブレットPC(iPadとかです)が一般的になろうとも、キーボードを備えたPCがなくなることはないだろうな、と思っています。プログラミングという作業は、「ネット人口」がさらに増えることによって、どんどん重要性を増していくことになるんですから。


あ、ついでみたいになっちゃいますけど、帰省してよかったと思っています。
わたしのように親と離れて暮らしている人間は、両親の顔を見るのも、もう限られた回数しかない。
そう思ったがゆえの帰省でしたけど、そんなふうに思えるようになったのも、大人になったということなんでしょうね。


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2011年1月1日土曜日

カスタマイズ――無限への扉

新年あけましておめでとうございます。

今年はやりたいこと・やろうと思っていること・やらねばならないこと、たくさんあります。
なにもやらないよりはやったほうがいい。座して待つより走り出したほうがいい。
それは勿論なんですけれども、ときとして、やりすぎてしまうこともある。そのあたり、一種の慎重さも必要なのでしょう。

てなわけで、2011年1発目のテーマは、「やりすぎちまった男」です。

LinuxというOSの美点をひとつあげるとするなら、それは「限界がない」ということでしょう。
OSの隅の隅、カーネルの奥の奥まで仕様が公開されている――いわゆる「オープンソース」ですが、ユーザはそれを自由に、好き勝手にいじることを許されています。自分好みのOSを求めて、どこまでもカスタマイズできるんです。こと個人ユースにかぎるならば、LinuxならぬKurosonux(わたしのハンドルです)をつくったっていい。

とはいえ、誰にでも可能なことじゃありません。それができる技術をもった人はきわめてまれです。
かくいうわたしも「もってない」ほうで、公開されているソースコードなど見ても、なにが書かれているのかサッパリわかりません。

かつて一度だけ、カーネルのソースコードをダウンロードしてじっくり眺めたことがあります。
とはいえ、改変するためでも勉強するためでもありません。
わたしの職業は本づくりなのですが、その本のデザインに、コードの文字列を並べたらカッコいいだろうと思い、はてさてどのあたりを持ってくるべきか、けっこう時間をかけて吟味したのです。要するに字として並べてカッコいい文字列を探したので、意味なんざまるでわかっちゃいません。所詮、わたしにできるのはその程度です。
わかる人に言わせれば、Linuxカーネルというのはほんとに美しく書かれてるらしいんですが、そんな「美しさ」なんかわかるはずもない。

とはいえ、Linuxの「限界のなさ」は、ちょっと気を許していると、わたしのような門外漢さえ虜にしてしまいます。無限のカスタマイズへと誘う扉は、そこかしこに開いているんです。

昨年末、ちょっと時間があったもんで、いじりはじめてしまいました。

当初は、かっくいいアイコン・テーマFaenzaをインストールするだけのつもりでした。ところが、そのうちにどうしてもMac OSふうのドックCairo-Dockを入れたくなった。

入れましたよ。


わたしのマシンは老兵です。不必要な改変や装飾は、システムに大きな負担をかけ、老兵に酷な仕事を課すことになります。
そもそも、解像度1024X768の狭いデスクトップに、ドックなんか必要ないんだよ。

案の定、グラフィックボードが悲鳴をあげはじめました。
アプリケーションのウィンドウを閉じても、その残滓がモニタ上に残ってしまう。描画性能がついていけなくなってしまったんです。

わー、こりゃムリだわ、と思いました。
そこで元に戻せばいいようなもんの、ふと思う。

LinuxのGUI環境というのは、X Window Systemと呼ばれるひとつのアプリケーションです。Windowsのように、OS本体がGUIになっているわけじゃない。したがって、UbuntuデフォルトのGNOMEデスクトップは、別のものに取り替えることができます。

現在の環境はそのまま残しておいて、軽いウィンドウ・マネージャをインストールし、状況に応じて切り替えながら使えばいいじゃないか。そうすれば、デザインに凝った現在の環境と、軽快でストレスのない環境と、両方を手にすることができる!

そこでわたしがインストールしたのはLXDEです。軽量サクサク環境。
なかなかイイけど、今のままでは設定に苦労しそうだぞ……と考えたところでハタと気づきました。

あっ、ディスク容量!

さっそくdfコマンド。


わずかひと月まえ、この記事を書いていたときには20GB以上あった空き領域が、たったの8.6GBになってしまっています。使用率69%! 

ああそうだ、このマシンはあくまでライティング・マシンとして運用しようと思っていたのだ。老兵であるうえに、ディスク・スペースにも限りがあるんだよ。
スカッと忘れてた……。

もともと設定好き・環境構築好きなんですよね。
そうじゃなきゃ、Linuxを使おうなんて思わないのかもしれません。
とはいえ、Linuxのカスタマイズは自分で納得しないかぎり永遠に続いてしまう。カスタマイズ無限地獄です。

過ぎたるは及ばざるがごとし。やりすぎはよくねえよ。やるときゃ「自分の立ち位置(マシンパワー)を振り返る」程度の慎重さは必要だぜ。
昨年末、そんな教訓を得ることができました。

で、デザインに凝ったアイコン・テーマやドックはどうしたかって?
まったく使ってませんけど、システムには入ったままです。むろんLXDEも。


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